
競馬中継を見ているとパドックを終えた馬が本馬場へ入場し、レースが始まるまでの間にコースを走っている姿を見かけます。
「レース前なのに、なぜ馬は走っているの?」
「あれは調教なの?」
「返し馬を見ると予想の参考になるの?」
そんな疑問を持ったことがある方もいるのではないでしょうか。
このレース前に馬がコースを走ることを「返し馬(かえしうま)」といいます。
返し馬は、競走馬がレースに向けて行うウォーミングアップのひとつです。
この記事では競馬の「返し馬」とは何なのか、なぜ行うのか、レース前のどのタイミングで行われるのかについて、競馬初心者にも分かりやすく解説します。
競馬の「返し馬」とは?
返し馬とは、パドックから本馬場へ入場した競走馬が、レース前にコースを走って行うウォーミングアップのことです。
JRAの競馬用語辞典でも、返し馬は「パドックからコースに入場してきた馬が、コースを走るウォーミングアップ」と説明されています。
つまり競馬中継でレース直前に馬が走っているのは、すでにレースが始まっているわけではありません。
本番のレースに向けて、馬の準備を整えている時間というわけです。
返し馬=レース前に行うウォーミングアップ
パドックを終えて本馬場へ入場した馬が、レースに向けてコースを走ります。
なぜ競走馬はレース前に走るの?
では、なぜレースが始まる前にわざわざ馬を走らせるのでしょうか。
大きな目的のひとつが、レースに向けた準備運動です。
人間でも、いきなり全力疾走するのではなく、運動前に軽く体を動かして体を温めますよね。
競走馬にとっても、レース前に体を動かしておくことは重要です。
また、JRAの競馬学校の解説では騎手は返し馬をしながら騎乗馬の走りを確認しているとされています。
そのため返し馬は、馬にとってのウォーミングアップであると同時に、騎手が本番前の馬の状態を確認する時間でもあります。
返し馬はいつ行う?
返し馬は、レース直前の流れの中で行われます。
競馬場では、だいたい次のような流れでレースを迎えます。
- パドックで馬を確認する
- 騎手が騎乗する
- 本馬場へ入場する
- 返し馬を行う
- 発走地点付近で待機する
- ゲートへ向かう
- スタート
JRAの競馬学校の紹介でもパドックを終えた騎手が馬場へ向かい、馬場に入場した後は「準備運動の返し馬」をしながら騎乗馬の走りを確認すると説明されています。
その後、コース脇に設けられた待避所で集合合図を待ち、いよいよゲートインとなります。
パドックと返し馬の違い
競馬初心者にとって少し分かりにくいのが、「パドック」と「返し馬」の違いです。
| 項目 | 特徴 |
| パドック | レース前に馬が周回する場所。馬体や気配などを確認できる |
| 返し馬 | 本馬場へ入場した馬がレース前に行うウォーミングアップ |
簡単にいうと、
パドック=歩いている馬を見る時間
返し馬=実際にコースを走る馬を見る時間
と考えると分かりやすいでしょう。
JRAではパドックについてもレース前の馬を間近で見られる場所として紹介しており、馬の気配や発汗などを予想に役立てることができるとしています。
返し馬で何を見ればいい?
返し馬は、単なるウォーミングアップとして見るだけでも面白いですが、競馬ファンの中には予想の参考として返し馬を見る人もいます。
では、実際にどんなところを見ればいいのでしょうか。
馬の走り方を見る
まずチェックしたいのが、馬がどのように走っているかです。
返し馬では実際にコースを走るため、パドックとは違った馬の動きを見ることができます。
騎手が馬の走りを確認する時間でもあるため、本番前の馬の動きを見る機会として注目してみるといいでしょう。
落ち着いているかを見る
競走馬にとってレースは大きなイベントです。
特に2歳馬などキャリアの浅い馬は、競馬場の雰囲気や観客の歓声に慣れていないこともあります。
そのため返し馬でどのような動きをしているかを見ることで、レース前の馬の様子を確認することができます。
ただし、「落ち着いている=必ず好走する」「興奮している=必ず凡走する」と単純に判断できるものではありません。
あくまで予想材料のひとつとして見ることが大切です。
パドックと合わせて見る
返し馬だけで判断するのではなく、パドックと合わせて見るのもおすすめです。
パドックでは馬体や歩き、発汗などを確認し、その後の返し馬では実際の走りを見る。
このように「歩いているとき」と「走っているとき」の両方を見ると、より競走馬の状態をイメージしやすくなります。
返し馬で馬が速く走ることはある?
返し馬と聞くと、すべての馬が同じようなペースで走ると思うかもしれません。
しかし、実際の返し馬では馬によって動き方が異なります。
軽く走っている馬もいれば、ある程度スピードを出しているように見える馬もいます。
ただし、返し馬はあくまでレース前の準備運動。
返し馬で全力を出してしまえば、本番のレースに向けて余計な体力を使ってしまいます。
そのため返し馬を見るときは「速く走っている馬が良い」と単純に考えるのではなく、馬がどのような状態で本番を迎えようとしているのかを見ることがポイントです。
返し馬で「放馬」が起こることも
返し馬の時間に、思わぬハプニングが起こることもあります。
それが「放馬(ほうば)」です。
JRAでは放馬を興奮した馬が騎手を振り落としたりして逸走してしまうことと説明しており、返し馬のときなどに特に起こりやすいとしています。
競馬中継を見ていると、レース前に騎手が乗っていない馬がコースを走っている場面を見ることがあります。
「騎手がいないのに走っている!」と思ったら、放馬している可能性があります。
放馬した場合は馬の状態や状況を確認したうえで、レースへの対応が判断されます。
放馬とは、馬が騎手を振り落とすなどして逸走すること。
JRAによると、返し馬のときなどに特に起こりやすいとされています。
返し馬を見て馬券の予想はできる?
では、返し馬を見れば馬券の予想に役立つのでしょうか。
結論からいうと、返し馬だけで勝ち馬を判断するのは難しいでしょう。
競馬の結果には馬の能力や展開、枠順、馬場状態、距離適性、騎手など、さまざまな要素が関係します。
返し馬だけを見て「この馬が絶対に勝つ」と判断することはできません。
一方でパドックや馬体重、過去のレース成績などと合わせて見ることで、レース直前の馬の様子を確認する材料にはなります。
特に競馬場やテレビ中継でレースを見るときは、返し馬にも注目してみると、今までとは違った楽しみ方ができるでしょう。
返し馬を見ると競馬がもっと面白くなる
競馬では、レースがスタートしてからゴールするまでだけが見どころではありません。
パドックで馬の状態を見たり、本馬場入場を見たり、返し馬を見たりと、レースが始まるまでにもさまざまな情報があります。
返し馬もそのひとつです。
「この馬は落ち着いているな」
「さっきより動きが良く見えるな」
「この馬、元気がありそうだな」
など、実際に馬が走っている姿を見ることで、パドックとはまた違った印象を受けることもあります。
競馬を始めたばかりの方はまずは細かいことを気にせず、「レース前に馬がどう動いているのかを見る」くらいの感覚で楽しんでみるのもおすすめです。
まとめ|返し馬はレース前の大切なウォーミングアップ
競馬の「返し馬」とはパドックから本馬場へ入場した競走馬が、レース前にコースを走って行うウォーミングアップのことです。
騎手にとっても、返し馬をしながら騎乗馬の走りを確認する時間となっています。
競馬を見るときは、
- パドックで馬の状態を見る
- 本馬場入場を見る
- 返し馬で実際の走りを見る
- ゲートインからレースを見る
という流れを意識すると、レース前の時間もより楽しめるようになります。
返し馬だけで馬券の結果を判断することはできませんが、パドックや馬体重、過去の成績などと合わせて見ることで、競走馬の状態を考える材料のひとつになります。
次に競馬中継を見るときは、ぜひ「この馬は返し馬でどんな走りをしているかな?」というところにも注目してみてください。
レースが始まる前の時間にも、競馬の面白さがたくさん詰まっています。





