
競馬のレースを見ていると、ゴール後に「審議」のランプが点灯したり、確定した着順が入線時の順位から変更されたりすることがあります。
こうした場面で関係するのが、「降着」や「失格」といった競馬のルールです。
どちらも着順に影響する処分ですが、適用される条件や処分の内容には違いがあります。
降着は「走行妨害がなければ被害馬が先着していた」と判断された場合に、妨害した馬の着順を変更する処分です。
一方、失格は規則で定められた事由に該当した馬が着順を失う処分です。
この記事では降着と失格の違いをはじめ、走行妨害が起きたときの判断基準、審議の仕組み、馬券の払い戻しへの影響まで詳しく解説します。
この記事でわかること
- 競馬の降着と失格の意味と違い
- 走行妨害が起きたときの判断基準
- 審議ランプが点灯する理由とレース確定までの流れ
- 降着・失格による着順や馬券への影響
- 2013年に変更された降着・失格ルールのポイント
競馬の「降着」とは?
降着とはレース中の走行妨害などについて裁決委員が判断し、馬の着順を変更する処分です。
JRAでは競走中に斜行や押圧などによってほかの馬の走行を妨害し、その妨害がなければ被害馬が妨害した馬より先に入線していたと判断された場合、妨害した馬は被害馬の後ろの着順に降着となります。
例えば、A馬が先頭でゴールし、B馬が2着で入線したレースを考えてみましょう。
A馬が最後の直線で斜行し、B馬の進路を妨害していたとします。
裁決委員が妨害がなければB馬がA馬より先に入線していたと判断した場合、A馬はB馬の後ろの着順に変更されます。
このケースでは、A馬が2着、B馬が1着となります。
降着の具体例
入線時の順位:A馬が1着、B馬が2着
走行妨害がなければB馬が先着していたと判断された場合:
- B馬:1着に繰り上がる
- A馬:B馬の後ろである2着に降着
※説明のための仮定例です。実際の裁定は、レース中の状況を踏まえて判断されます。
ただし、走行妨害が発生したからといって、必ず降着になるわけではありません。
妨害があったことと着順を変更する必要があることは、別々に判断されます。
競馬の「失格」とは?
失格とは入線した順位が取り消され、着順を失う処分です。
JRAでは走行妨害に関して「極めて悪質で、ほかの騎手や馬に対する危険な行為によって競走に重大な支障を生じさせた」と裁決委員が判断した場合、妨害した馬が失格となります。
また、失格の理由は走行妨害だけではありません。
規則では走路外に逸走した際に定められた対応を取らずにレースを続けた場合や、負担重量の不足、禁止薬物の使用、不正協定の実行なども失格事由として定められています。
失格となった馬は競走成績上の着順を失い、ほかの馬の順位が繰り上がる場合があります。
ただし失格がいつ、どのような理由で決定されたかによって、馬券の払い戻しの扱いが異なる点には注意が必要です。
失格のポイント
- 入線した順位が取り消される
- 走行妨害以外の規則違反も失格事由となる
- 競走成績上の着順と馬券の払い戻しは、必ずしも同じ扱いになるとは限らない
降着と失格の違いを比較
降着と失格は、どちらもレース結果に関係する処分ですが、着順の扱いや判断基準が異なります。
| 比較項目 | 降着 | 失格 |
|---|---|---|
| 基本的な意味 | 着順が変更される | 入線した順位が取り消される |
| 走行妨害の場合の判断基準 | 妨害がなければ被害馬が先着していたか | 極めて悪質で危険な行為により競走に重大な支障を生じさせたか |
| 処分後の着順 | 対象となる被害馬の後ろに変更される | 着順から除外される |
| 走行妨害以外の理由 | 走行妨害による着順変更が中心 | 重量不足や禁止薬物など、規則で定められた失格事由もある |
簡単に覚えるなら、降着は「ほかの馬との着順が入れ替わる処分」、失格は「その馬が着順を失う処分」です。
ただし、降着と失格は単純に違反の程度だけで決まるものではありません。走行妨害の内容や危険性、競走への影響など、それぞれの規則に基づいて判断されます。
走行妨害があっても必ず降着になるわけではない
降着のルールを理解するうえで重要なのが、走行妨害があったかどうかだけでなく、妨害がなければ着順がどうなっていたかという点です。
例えば、A馬が斜行してB馬の進路を妨害したものの、レース全体の状況から、妨害がなくてもA馬が先着していたと判断された場合、走行妨害があったという理由だけでA馬が降着になるわけではありません。
一方、降着にならなかった場合でも、騎手の違反行為に対して制裁が科されることがあります。
つまり馬の着順を変更するかどうかという判断と、騎手に対する制裁は別々に考えられます。
降着の判断で確認されるポイント
JRAの裁決委員は、走行妨害による降着を判断する際、次のような要素を総合的に確認します。
- 入線順位:妨害した馬と被害馬が何着で入線したか
- 着差:両馬のゴール時の差がどれくらいだったか
- 被害の程度:進路を妨害されたことで、どのような影響が生じたか
- 妨害が起きた場所:ゴールまでの距離や、事象が発生した位置
- 前後の走行状況:妨害が起きる前後に、両馬がどのように走っていたか
これらを踏まえ、妨害がなければ被害馬が先着していたと判断された場合に降着の対象となります。
なお、降着の判断では妨害した馬と被害馬の関係が重要です。
妨害と直接関係のない別の馬との着順関係だけで、降着するかどうかが決まるわけではありません。
競馬で「審議」のランプが点灯する理由とは?
競馬中継や競馬場の掲示板で「審議」のランプが点灯した場合、レース中の出来事について確認が行われていることを意味します。
審議は走行妨害などがあった際に、着順を変更する必要があるかどうかを判断するために行われます。
ただし審議になったからといって、必ず降着や失格になるわけではありません。
審議ランプはどのようなときに点灯する?
JRAでは原則として5位までに入線した馬について、着順が変更される可能性がある場合に審議ランプが点灯します。
例えば上位馬が走行妨害をしていた場合、その馬の着順が変更される可能性があるため、審議の対象となることがあります。
また、出走馬の関係者から降着・失格の裁決を求める申し立てがあった場合なども、審議ランプが点灯するケースがあります。
一方、6位以下に入線した馬の着順に変更の可能性がある場合など、審議ランプが点灯しないケースもあります。
ランプが点灯していないからといって、レース中に何も問題がなかったとは限りません。
審議から着順確定までの流れ
審議が行われると、裁決委員がレース中の状況を確認し、必要に応じて映像なども参考にしながら判断します。
- レース中の走行妨害などについて確認する
- 関係する馬の走行状況や妨害による影響を調べる
- 降着・失格などによる着順変更が必要か判断する
- 裁定結果を踏まえて着順を確定する
レース後には、走行妨害などが問題となった場合にパトロールビデオやJRAの裁決レポートで状況が公表されることもあります。
判断の理由を知りたい場合は、公式情報を確認するとよいでしょう。
審議中に注意したいこと
審議中は着順が変更される可能性があります。馬券は、レースが確定するまで捨てずに保管しておきましょう。
降着・失格のルールは2013年に変更された
JRAの降着・失格ルールは、2013年に変更されました。
現在のルールを理解するうえでは、この変更も押さえておきたいポイントです。
2012年までのルールでは、走行妨害が被害馬の競走能力の発揮に重大な影響を与えたと判断された場合に降着となり、走行妨害によって被害馬が落馬・競走中止した場合には失格となるルールが採用されていました。
2013年からは、降着について「妨害がなければ被害馬が妨害した馬より先に入線していたか」という点を基準に判断する方式へ変更されました。
失格についても、極めて悪質で危険な行為により競走に重大な支障を生じさせたかどうかが基準となっています。
この変更は国際的な競馬ルールとの整合性を考慮し、馬がレースで示した到達順位を尊重することなどを目的としたものです。
そのため現在のルールでは、走行妨害があった場合でも被害馬が妨害した馬より先着していたと判断されなければ、必ずしも降着にはなりません。
降着・失格になると馬券の払い戻しはどうなる?
降着や失格によって着順が変更された場合、馬券の払い戻しにも影響することがあります。
ここでは、基本的な考え方を整理しておきましょう。
レース確定前に着順が変更された場合
レースの確定前に降着や失格が決定し、着順が変更された場合は、確定した着順に基づいて勝馬投票券の払い戻しが行われます。
例えば、1着で入線したA馬が降着となり、B馬が1着に繰り上がった場合、通常は変更後の着順をもとに払い戻しの対象が決まります。
そのため、入線時に1着だった馬だけを見て馬券の結果を判断するのではなく、公式に着順が確定したことを確認する必要があります。
レース確定後に失格が判明した場合
一方、レースの確定後に禁止薬物の使用などが判明した場合には事後失格となることがあります。
事後失格では競走成績上の着順が変更され、ほかの馬の順位が繰り上がる場合があります。
しかし、事後失格によって競走成績上の着順が変更されても、馬券の払い戻しに関する勝馬は変更されません。
つまり、競走成績上の最終的な着順と、馬券の払い戻しに使われる着順の扱いが異なる場合があるのです。
払い戻しの結果を確認する際は、JRAが発表する公式情報を確認しましょう。
降着・失格に関するよくある疑問
Q. 走行妨害があったのに降着にならないのはなぜ?
走行妨害があっても、妨害がなければ被害馬が先着していたと判断されなければ、降着にならない場合があります。ただし、着順が変更されなくても、騎手に対する制裁が科されることはあります。
Q. 被害馬が落馬したら、妨害した馬は必ず失格になる?
必ず失格になるわけではありません。JRAでは、走行妨害によって被害馬が落馬や疾病の発症などにより競走を中止した場合でも、失格に該当する危険な行為があったと判断されなければ、到達順位どおりに着順が確定することがあります。
Q. 審議ランプが点灯したら、馬券は外れたことになる?
審議ランプが点灯した時点では、着順が確定していない場合があります。審議の結果、着順が変更されることもあれば、変更されずに確定することもあります。必ず公式の着順確定を確認しましょう。
Q. 失格になった馬の騎手も処分される?
馬の失格と騎手に対する制裁は、関連する場合があっても同じものではありません。走行妨害などの違反行為があった場合は、その内容や被害の程度に応じて騎手への制裁も別途判断されます。
まとめ|降着と失格の違いを理解して競馬を楽しもう!
競馬の「降着」と「失格」は、どちらも着順に影響するルールですが処分の内容と判断基準が異なります。
- 降着:走行妨害がなければ被害馬が先着していたと判断された場合、妨害した馬の着順を変更する処分
- 失格:規則で定められた事由に該当し、入線した順位を失う処分
- 審議:走行妨害などについて確認し、着順変更の必要性などを判断する手続き
また、走行妨害があっても必ず降着になるわけではなく、審議が行われても着順が変更されない場合があります。
馬券の払い戻しについてもレース確定前の着順変更と、確定後の事後失格では扱いが異なります。
競馬中継で審議ランプが点灯したときや、レース結果に疑問を感じたときは、JRAの公式サイトで着順や裁決レポートを確認してみましょう。
競馬のルールを知ることで、レース結果をより正確に理解できるようになります。


